■書籍情報
著者 | 後藤 |
書名 | 雨傘をとじる夏 |
レーベル | ihr Hertz |
出版社 | 大洋図書 |
出版年月日 | 2021/07/15 |
■あらすじ
体調を崩しているサラリーマンの新は、
病院からの帰り道、体調不良で倒れてしまう。
そのとき、偶然通りかかった高校生の恭介と
彼の伯母の光代に助けられる。
その日から、新と恭介たちの交流が始まる。
新が何か事情を抱えていることを感じていながらも、
何も聞かず、ただ受け入れてくれる恭介たちに、
新の心は少しずつ癒されていく。
恭介もまた、新の弱さと強さに惹かれていきーー
裏表紙より
■カップリング
攻:何かと新を気に掛ける田舎町の高校生・川村 恭介
受:転職前の職場で受けた傷に苦しむサラリーマン・森本 新
■感想
ランク | A |
とある田舎町で暮らす世話焼きで優しい一家との出会いによって、
心の傷を少しずつ癒やしていく、受ちゃんの再生の物語です。
あの夏の日、あの道を歩いていなかったら。
きっと新は心の傷をずっとずっと抱えたままになっていて、
傷口を見ないように、思い出さないように、それこそ腫れ物に触るかのように、
誤魔化しながら生きていくことになっていたのかな、
雨傘は開いたままになっていたのかな、と思うと、
常原家との出会いに運命を感じずにはいられません。
恭介というより、光代さんに見つけてもらえて本当によかったよ…!!!
とはいえ、懐かしい風景・美しい光景・新しい世界へと
連れ出してくれたのは恭介であって、
新が過去と決別するための事件を起こしてくれたのも恭介でした。
(犯罪だけどね…でも、恭介よくやった!と言いたいです)
恭介がいなかったら、きっと新はうまく眠れない日々を過ごしていたんだろうな、と。
高校生の今でさえこんなに男前なのに…
成長したらどうなっちゃうの~~~~!!?
全体的にはほんわかしていて優しいお話なのですが、
新の「傷」に迫る部分は、苦しくて悲しくて辛いです。
けれども、傷を癒す過程がまた、泣いちゃうんですけど良かったです。
物語が終わった先で、新は必ず幸せになってほしいし、
恭介がそれを叶えてくれるのだろう、と思っています。
もう傘は、閉じて良いんだよ、って。
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