「シティ・ライツ・バースデイ」あらすじ・感想

■書籍情報

著者本郷地下
書名シティ・ライツ・バースデイ
レーベル.Bloom
出版社集英社
出版年月日2021/06/29

■あらすじ

α(アルファ)とΩ(オメガ)。その中でも特に強い結びつきを持つふたりは、

「運命の番(つがい)」と呼ばれるーー。

あるホワイトクリスマスに、β(ベータ)の東馬(あずま)は、Ωのまほろと出会う。

怪我をしたまほろを手当てしたお礼にと、

セックスの手ほどきを受ける東馬。

風俗に勤めるまほろは、お金を貯めながら、

幼少期に出会った”運命のα”を捜しているという。

まほろに惹かれてしまった東馬は、せめて役に立ちたいと

「運命のαを一緒に探します」と提案。

受け入れてもらったものの、二人で過ごすうち、

まほろへの想いは膨らみ続けていった。

そしてまほろも、運命を求めながら、

東馬への名前のつけられない感情を持ちはじめ……。

「あなたは、ちゃんと

運命の人と幸せになってください」

確かな”運命”を前に、

ひたむきに生きる二人と一人の、

切なくも優しい恋の物語。

裏表紙より

■カップリング

攻:まほろへの想いを隠しながら彼の運命の番探しに協力するβ・井ノ原 東馬

受:幼い頃に出会った運命の番を捜すΩ・まほろ

■感想

ランクA
泣きました。
オメガバース世界におけるβの苦しみや やるせなさが伝わるたび、
なんて理不尽で切なくて残酷な世界なんだろうと思わざるを得ません。

オメガバース世界では、αとΩの間でだけ成立する”番”および”運命の番”という
その世界の根幹をなすといっても過言ではない仕組みがあることから、
どうしてもβは脇役や当て馬になりがちな立場にありますよね。
Ωを好きになって愛したとしても、運命の番があらわれた瞬間に
αとΩは本能でお互いを求めあってしまう故に、
蚊帳の外に追いやられる可能性が非常に高い。
もちろん、βが想いを寄せるΩと運命の番が出会う可能性は極わずかではあるのですが…
たとえ想ったとしても、そんな不確実さがつきまとうのも確かです。

今作は、すでに運命の番と過去に出会っていて、彼を捜すΩと、
そんなΩに惹かれながら気持ちを押し殺し続けるβのお話です。
見てください表紙。
Ωの小指から始まる運命の糸は、βの身体を取り囲んでいるけれども、
βのそれに結ばれてはいないんです。
手を伸ばすβはΩを見ているのに、
Ωはもっと遠くの誰かに向けて、笑顔で手を伸ばしている。
作中を象徴するような距離感です。

もうさ…攻のβ・東馬が良い子すぎて…めっちゃ光属性。
叶わない想いと知っている。
その想いの名前も知っているけれど、伝えることはできない。
それは、自分が運命の相手ではないから。
それでも受との繋がりを諦められなくて、彼の手助けをする。
は~…諦めが悪いと言ったらそれまでですけど、
好きになったらどうしようもないですもんねぇ…
しかも受の手助けはめちゃくちゃ真剣に(というか攻がメインで)する
その姿勢が「良い子」そのもので…は~…

5話からもう情緒がはちゃめちゃにやられてしまいましたよね~
ずーーーーっと涙目。
運命の相手がいる。その彼を捜していた。彼との繋がりにも指がかかった。
だけど攻に抱きしめられた瞬間…
あああああああああーーーーーーー!!!最高…せつな…

本編を読み終わった後、作者様のあとがきを読んで、また涙。
そうですね…運命に抗うことはできないけれど、
抗えない世界であってもそこに幸せを見つけたお話だったと思っています。
泣きたいときに読んでほしい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました